Story
幼少期に記憶を失い、森に捨てられ、里親に育てられたギュンター。大人になった彼は舞台役者として生計を立て、共演者と不倫、一人娘は肺がひとつしかない突然変異だった。役者仲間の裏切りによって残酷な仕打ちを受けるギュンターは復讐を誓う。だがその先に、とてつもない驚愕の事実との対峙が待っている。


「何も知らないというのは素晴らしいことです。実際のところ、何も知らないのが一番良いのです。」
各メディアや海外の映画祭でも本作の内容に驚きつつも、これからのご鑑賞者のためにその事実を伝えないかたちで作品の批評が行われており、SNSなどでご感想を投稿の際は映画の結末に触れない形でお願いできたらと思います。何卒ご協力をお願いいたします。
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衝撃作『ボーグマン』(2013)でカンヌ映画祭パルム・ドールにノミネート、第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞し、世界中を大混乱に陥れたオランダの鬼才アレックス・ファン・ヴァーメルダム監督の記念すべき通算10作目の最新作。
不倫と復讐、自分は何者なのか。自身が舞台役者出身のヴァーメルダムは冷酷なまでの正確さで、主人公である役者ギュンターの人生を監視する。『ボーグマン』で映画のジャンルを超越したヴァーメルダムは遂に『No.10』で物語という概念を突破、正体不明の域に到達した。この戦慄と衝撃、緊張が渦巻くサスペンスに満ちた作品がもたらすあまりのことに海外映画祭では「頭がおかしくなるほど素晴らしい。はやく観たほうがいい」「大胆さにあきれて、たまげた」「不気味で暗く、怪しく、そしてどうかしている」など騒然となり、世界中の映画評論家は言葉を失った。
ヴァーメルダムは次のように語る。「脚本を書き始めるときは、これまでに行ったことのない領域にたどり着くべくシーンを次々と構築して配置する。『No.10』は終わりまでに、トーン、人員、ビジュアル、すべての点で、オープニングシーンから何光年も離れた場所にいる」。音楽もヴァーメルダムによるもので、土星人サン・ラーも羨むであろう宇宙ジャズともいうべき旋律が、何光年も離れた場所から奏でられる。
幼少期に記憶を失い、森に捨てられ、里親に育てられたギュンター。大人になった彼は舞台役者として生計を立て、共演者と不倫、一人娘は肺がひとつしかない突然変異だった。役者仲間の裏切りによって残酷な仕打ちを受けるギュンターは復讐を誓う。だがその先に、とてつもない驚愕の事実との対峙が待っている。
1952年生まれ。オランダの脚本家、映画監督、俳優。
1986年に長編映画『アベル』で監督デビュー、本作で主演・脚本も兼任した。衝撃作『ボーグマン』(13)でカンヌ映画祭パルム・ドールにノミネート、第46回シッチェス・カタロニア国際映画祭でグランプリを受賞し、世界中を大混乱に陥れた。戦慄と衝撃、緊張が渦巻くサスペンスに満ちた作品『No.10』はアレックス・ファン・ヴァーメルダム監督の記念すべき通算10作目の最新作となり、本作で物語という概念を突破し、正体不明の域に到達した。
物語を書き始めるときは、これまでに行ったことのない場所に到着するように、シーンを次々と構築して配置するだけだ。
(『No.10』を観る最善の方法は、事前にそれに関する宣伝をすべて避けることだ。これを強調するために、ヴァーメルダムは、かつて映画館に行ったものの、見たい映画が売り切れていたと説明する。そこで彼は、すでに反対側のスクリーンで上映が始まっていた映画のチケットを購入、観始めたときはその奇妙に見えるナチスをテーマにした作品に、彼は深刻な疑念を抱いていた。だがヒトラーのそっくりさんがスクリーンに現れて「助けて」と言ったとき、彼は自分がユダヤ人移民のエルンスト・ルビッチ監督による古典的なブラックコメディ『生きるべきか死ぬべきか』(42)を観ていることに気づいた。彼は初め、何の映画を観ているか何も知らないときは、何を期待すべきか全く分からなかったが、その後、自分自身がそれに完全に魅了されていることに気づいた。)
何も知らないというのは素晴らしいことだ。実際のところ、何も知らないのが一番良い。
(ヴァーメルダムは、とあるアメリカ人宣教師がアマゾンの熱帯雨林のなかで、数字や過去や未来という概念が完全に欠如した言語を操る先住民族を発見した物語に出くわした。) 彼ら先住民族は神を信じなかったので、司祭は司祭である意味を失った。なぜか?それは、これらの人々が幸せで、彼らが楽園に住んでいるからだ。そして司祭は彼らに、彼らは楽園に住んでいるわけではなく、彼らが死んだ後により良い楽園があり、そこに到達するにはこれまでとは違う人生を送らなければならないということを説く必要があった。それが私にインスピレーションを与えたのだ。
(編集について)
私と編集のヨープ・テル・ブルフはお互いの存在がお互いをより強くする関係だ。私たちにはエゴはなく、争ったり、フラストレーションを感じることはない。何を加え、何を省くか。私たちはストーリーをどう伝えるかだけを考えている。そして編集が進むにつれ、ますます満足感が増していく、編集によって驚異的な何かが発生し、奇跡が起きる。何かを省けば、繋がる2つのシーンが連動する。太陽が輝きはじめ、状況は100%良くなる。どうしてそんなことが可能なのか?映画自体が語りはじめ、それはそれまで想像していたものとはまったく異なるものに成長する。それは自分を幸せにしてくれる。とてもエキサイティングなことだ。
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